ヤマミヤアップデート

嘘は書かないつもり

『劇場版アイドルキャノンボール』 やらなくてもいいことを本気でやるプロ根性

先日『劇場版アイドルキャノンボール 2017』を見た。
冒頭からおじさんの嘔吐を映すような異質な映画だが、グロさやエロの中にある情熱を忘れることができないのでザッと書いてみる。

〇アイドルキャノンボール とは
AV監督たちが各地でレースをしながら、テレクラやナンパなどで素人女性をゲットし、その得点を競うという「テレクラキャノンボール」に続く作品で、
今作ではMV監督も参戦し、アイドルのオーディション合宿に同行。ハグやキス、添い寝などで得点を稼ぐというルール。大逆転ポイントとして「ハメ撮り」や「結婚」もある。
しかしアイドルに「やめてください」と言われたらマイナスポイントになるという設定もあり、上手く暴走を防いでいる。

https://youtu.be/lRKmyqINOrg

〇倫理的にはアウト
明らかに倫理的には正しいとは言えないルールである。
不倫や浮気さえも猛バッシングされるご時世において、あわよくばアイドルとのハメ撮りを狙うこの作品が各所で公開されているからすごい。
しかもこれが人気ゆえにシリーズ化されているのも世論とのギャップを感じて皮肉的である。


〇「おふざけ」の中にある鋭さ
恒例となっているのが、参加者たちが部屋に集まり、各々が撮った映像を見せるシーン。
アイドルに接近するも悪戦苦闘する様子を見ながら和気あいあいとしてるおじさんたちは、さながら男子高校の修学旅行である。
しかし時たまその出来に対して苦言を呈すこともあり、「何これ。せめて自分の心象風景入れたり何なりしないと。」(うろ覚え)というダメ出しは、遊んでいるのか本気なのか、つかみ所のない空気感を生んでいた。
穏やかな空気の中にも、プロとしての本気が垣間見えるこの雰囲気こそキャノンボールの魅力だと思う。


〇やらなくていいことを本気でやるプロ根性
全編通して「何をやっているんだ」感は否めない。
おじさんが辛い食べ物を汗だくでぐちゃぐちゃになりながら食べる。
女の子の足にキスする。
一晩で体重をできる限り増やすために、アイドルが夜通し食べ続ける。
「何をやっているんだ」を真剣にやっている。
特に今作で初参加となったMV監督が、奥さんにキャノンボールの参戦を伝え、揉めた末に奥さんに泣かれるシーンを映像に収めていたのはすごかった。
良い悪いを置いといて、とにかく映像に残す(そして尊敬するAV監督に認められたい)という根性が伝わってくる場面だった。

そして最後には「やらなくていいのに」の極みのシーン。
映画の中でネタバレ厳禁とされていたので詳しくは書けないが、「やらなくていいバカ(グロい)なことを本気でやって、周りが感動している異様な状態」だった。

ここまで読んだら分かるように、見たら気持ち悪くなる人も少なからずいるはずだ。
でも、こんなバカなことを泣くほど真剣にやってる参加者たちを見ていると、「何が何でもやる」という「良い悪い」とは別軸の「プロ根性」があるような気がした。

ごちゃごちゃ書いたが、普通に笑える作品なので、興味ある人見といて損はないと思う。