庭劇団ペニノ「笑顔の砦」RE-CREATION
2019.9.20 @KAAT
日本海に面した小さな漁港町。
漁師たちが住むアパートに、ある家族が引っ越してくる。
兄弟のように仲良く、笑いの絶えない日々を送る漁師。
認知症の母親を持つ家族。
まるで違う二つの部屋、二つの時間。
しかし、次第に影響し合い、何気ない日常は変化していく。
本当はただ笑って生きていたいだけなのに。
ペニノを見るのは初めてだったが、まずその精巧でリアルな舞台セットに驚く。
今回はあるアパートの隣同士の二部屋が舞台であるが、その舞台装置の上では、役者たちに演劇を見せられているのではなく、ステージ上にある「生活」を観客側が覗き見ている感覚になった。
古びた冷蔵庫が閉まる「パタン」という響きや、狭いキッチンで作業する後ろ姿、日常生活の音を体で感じることができ、やはりこういった繊細で感覚的な出来事を感受できるという点は生の演劇は非常に優れていると思わされる舞台であった。